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倶楽部報(2023年春号)

野球部長退任にあたり

前野球部長 岡  浩太郎

2023年04月07日

前野球部長 岡  浩太郎

2月末で12年(と2カ月?)の務めを終え、野球部を卒業しました。紙面上(web上ですね)となりますが、三田倶楽部の皆様に一言お礼を申し上げたいと思います。

前島部長(当時)から野球部長のお話をいただいたときには、「なぜ私だろう?」と正直思いました。「岡さんは私とよく似た考え方をする人だとわかっていたので、野球部長をお願いしたい。迷惑をかけることになるであろう奥さんを除いては一切、他言無用、1年間かけてゆっくりと考えてみてください。」とのお話でした。受けることを決めた後、「なぜお前なのか?」、これは慶應の体育会バドミントン部で主将、監督を務めた父の言葉でした。それから週末にネクタイを締めて神宮に通うという想像もしなかった日々が始まりました。

「最近は兎跳びをしないのですね」と当時の江藤監督に話したところ、「部長はいつの時代の人ですか?」と訝しがられたことが大変懐かしく思い出されます。私の12年間の在職中は、体育会の古い体質(?)がどんどん洗練され、スポーツに昇華された時代だったと思います。強い慶應の野球について、部内での議論は活発になり、Enjoy Baseballについて理解が深まりました。単に勝つだけの野球ではない野球、学生野球の最先端であり、憧れであり目標となる野球を掲げ、日々選手と一緒に汗を流していただいた監督の皆さんに感謝申し上げます。慶應野球の素晴らしさの一つは指導者層の厚さであるといつも思っていました。私が出会った監督さんは、皆さん人柄が素晴らしいのみならず、選手をよく理解して鍛え、そして不甲斐ない部長も鍛えてくださいました。

私自身は研究者ということもあり、創意と工夫が命であるとともに、理屈が通らないことは譲らないことを信条としてきました。そのようなこともあって、部長就任当初は三田倶楽部の皆様、特に執行部の皆様には大変ご迷惑をおかけしたものと思います。理屈がわかるのに12年とは少々長すぎましたね。一方で理屈が分かりすぎる部長ではそろそろいけないのではと、コロナ前から退任を考えておりました。今回塾野球部で主将をされた加藤貴昭教授に部長をお願いできたのは、やはり三田倶楽部の人材の厚さであると思っております。部長が野球部の出身だなんて、慶應はなんてすごいのでしょうか。新部長にはしばらくは「わからず屋」で頑張って頂けたらと思っています。そして一生懸命頑張っている部員に目を向けてあげてください。

私は慶應の定年を残してこの4月からは北里大学に新設される未来工学部の学部長となります(慶應での残務整理もありますのでこの4月から1年間は慶應と北里を兼担します)。勝ち試合の後には、「今日は2番目に良い出来だった」と私は言い続けてきましたが、察しの良い選手たちのことですからその真意は通じていたと思います。もちろん本当に良い試合は「次の試合」に決まっています。私も「次の試合」にベストを尽くす所存です。

三田倶楽部の皆様、本当にお世話になりました。12年間、ありがとうございました。

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