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倶楽部報(2023年春号)

優勝は逃すも新戦力が台頭

蔭山  実(昭和61年卒 四條畷高)

2023年04月07日

2022年秋季リーグ戦は、慶早戦で勝ち点を挙げれば、2シーズンぶりの優勝だったが、そこから連敗を喫し、3位となった。だが、苦しい試合展開でも4年生の粘りと、それを支えた3年生、2年生の活躍が光り、春季リーグ戦での雪辱に期待のつながる戦いぶりだった。

対早大一回戦は、3点差を追う八回、先頭の代打、本間颯太朗(慶應・総2)の内野安打を足掛かりに山本晃大(浦和学院・総4)の適時打などで同点に追いつくと、九回には、守備で途中出場の吉川海斗(慶應・法3)がリーグ戦初となる本塁打を右翼席に放ち、1点を勝ち越した。その後、逆転され、敗れたものの、終盤での逆転劇はチームの層の厚さを示した。

対早大二回戦も初回に4点を先行されながら、急遽、マウンドに上がった森下祐樹(米子東・総3)が窮地をしのぐと、二回にリーグ戦初先発の斎藤快太(前橋・商2)の適時打で1点を返し、さらに森下が自らリーグ戦初打席で初安打、初打点となる二塁打を左中間に放って、すぐに1点差へと詰め寄った。再び4点差とされた終盤、宮崎恭輔(國學院久我山・環3)のこの試合で3安打目となる適時二塁打などで2点差に追い上げるなど、総力で最後まで意地を見せた。

リーグ戦は、開幕戦の対東大戦で黒星を喫する厳しいスタートだった。その後、悪天候で試合の順延が続き、中3日で行われた二回戦に勝利したものの、三回戦は2週おいて行われる異例の事態となった。その間の対立大戦は勝ち点のない状況で接戦が続き、一回戦を引き分け、二回戦を2-1で逃げ切ると、三回戦も1-1で延長に入り、十回に山本の3点本塁打でサヨナラ勝ちを決め、ようやく勢いを取り戻した。その翌週の対東大三回戦では、慶大としては51年ぶりとなる、リーグ史上4度目の毎回得点を達成した。

その後も三回戦までもつれる展開となったが、対法大一回戦で増居翔太(彦根東・総4)がリーグ戦で初の完封勝利を挙げると、三回戦で再び増居が粘り強い投球を見せ、古川智也(広島新庄・環4)のリーグ戦初本塁打や宮崎の適時打などで快勝。続く対明大戦、一回戦は1点を先制されながらも中盤に萩尾匡也(文徳・環4)の3点本塁打などで一気に逆転、増居から橋本達弥(長田・環4)への盤石の継投で快勝した。二回戦は3点差を追う九回に萩尾の中越え3点本塁打で同点に追いつく驚異の粘りを見せる。その後に1点を奪われ、連勝は逃したものの、続く三回戦は初回から山本の3点本塁打、廣瀬隆太(慶應・商3)の本塁打と長打攻勢で序盤から主導権を握り、終盤も宮﨑の適時打などで点差を広げると、増居と橋本の継投で相手打線を無得点に抑え、優勝を賭けた大事な戦いで勝ち点を挙げた。

リーグ戦序盤は苦しんだものの、慶早戦を残して8勝3敗1分け、勝ち点4で、最後まで優勝争いをリードする展開に持ち込んだ粘り強い力は特筆すべきであった。萩尾は慶大としては2019年秋の郡司裕也以来、戦後16人目、慶大としては7人目となる三冠王を獲得。ベストナインには、6勝で最多勝利の増居をはじめ、廣瀬、萩尾、山本と宮尾将(慶應・商4)の計5人が選ばれた。ただ、慶早戦まですべて三回戦にもつれこむ展開で、勝ち点4ながら勝率で明大と早大に及ばなかった。春季リーグ戦では、この悔しさを胸に、新チームで一丸となって、「早稲田に勝つ」「リーグ戦優勝」「日本一」の目標達成が期待される。

慶早二回戦で急遽マウンドに上がり、投打に活躍した森下祐樹投手
慶早二回戦で急遽マウンドに上がり、投打に活躍した森下祐樹投手

慶早一回戦で九回に勝ち越し本塁打を放った吉川海斗外野手
慶早一回戦で九回に勝ち越し本塁打を放った吉川海斗外野手

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