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倶楽部報(2023年秋号)

秋季につなげる、慶早戦で逆転勝利

蔭山  実(昭和61年卒 四條畷高)

2023年09月08日

2023年春季リーグ戦は、コロナ禍による制約も緩和され、2019年以来、開会式で六校がそろい、応援も通常通りに行われた。慶大は開幕から2週続けて、あと少しのところで勝ち点を奪えず、厳しい展開となったが、チーム一丸で盛り返し、15試合8勝5敗2分、勝ち点3で3位を死守した。

伝統の慶早戦は1903年に三田綱町グラウンドで行われた第1回から120周年。ともに勝ち点2で3位を争う展開となったが、一回戦は2万6千人、二回戦は2万3千人の観衆が詰めかけた。一回戦は敗れたものの、そこから連勝で勝ち点を挙げ、昨春以来、早大に勝利。二回戦では、18安打15得点で1失点という早慶戦史上最多得点差を記録した。3回戦は、エースの外丸東眞(前橋育英・環2)が、主砲、廣瀬隆太(慶應・商4)の本塁打による1点を守りきり、109球、被安打4でリーグ戦初完封を達成、秋季に向けて自信を深める締めくくりとなった。

投手陣は、一回戦を任された外丸が11試合に登板、8試合に先発して3勝、防御率1.37(リーグ4位)。二回戦の先発を担った谷村然(桐光学園・環4)は初出場で8試合に登板、4試合で先発し、2勝を挙げた。打撃陣は明大二回戦から調子を上げ、栗林泰三(桐蔭学園・環4)が打率3割5分2厘(リーグ4位)、打点11(同3位)で、外野手で初のベストナインに選出された。吉川海斗(慶應・法4)が3割3分3厘、宮崎恭輔(國學院久我山・環4)が3割2分7厘、打点10と続き、明大戦からベンチ入りした齋藤來音(静岡・環4)は既定打数に3打席足りなかったものの、勝負強い打撃で3割4分1厘と奮った。廣瀬はリーグトップの5本塁打を放ち、通算18本塁打として歴代7位タイの谷沢健一(早大、昭和41〜44年)、広澤克己(明大、昭和56〜59年)と並んだ。東大戦を除く4試合でいずれも先制本塁打を放ち、チームを引っ張った。

リーグ戦では新戦力の活躍も目立った。開幕の法大一回戦から、荒井駿也(慶應・商2)と広池浩成(慶應・経1)が中継ぎで初登板。二回戦は谷村然がリーグ戦初先発で立ち上がりに2点を奪われたが、その後は無失点で7イニングを投げきった。試合は九回、ともに代打で初打席初安打となる、佐藤一朗(慶應・商4)の適時打と、村上真一朗(城北・文4)の2ランで逆転し、八回に初登板した小川琳太郎(小松・経2)が初勝利を挙げた。法大三回戦では、森下祐樹(米子東・総4)がリーグ戦初先発、2番手の荒井駿とともに粘りの投球で均衡した展開を支えた。続く明大戦では、三回戦で、代打の村岡龍(慶應・商1)が初打席で初安打。終盤に中継ぎで登板した小川琳が再び逆転勝利で2勝目を挙げた。

リーグ戦中盤からチーム状態も上向き、東大戦は一回戦に16安打、11得点で快勝。九回に代打の横地広太(慶應・法1)が初打席で初安打、初打点を挙げた。二回戦に先発した谷村はリーグ戦初本塁打、初打点となる2ラン、さらに適時打を放ち、自ら挙げた3点を守って完封でリーグ戦初勝利を挙げた。勝ち点を奪取して、さらに勢いに乗りたい立大戦は二回戦で、吉川と栗林の活躍で得点を重ね、2番手で登板した荒井駿がリーグ戦初勝利を挙げた。三回戦は斎藤快太(前橋、商3)がリーグ戦初本塁打となる3ラン、八回にも適時打で2点を追加し、打点5を挙げる活躍で快勝した。

3位をかけた慶早戦は、一回戦で栗林が先制の2ランを放ちながら逆転で敗れたものの、齋藤來が猛打賞、吉川と宮崎も2安打と奮った。大勝した二回戦では、栗林と齋藤來、慶早戦でリーグ戦初先発となった佐藤駿(慶應・商3)が猛打賞を記録し、4四球の廣瀬と1安打の谷村以外、先発全員が2安打以上を放つ猛攻ぶりだった。投げては、先発の谷村が7イニングを被安打4、失点1に抑えた。九回には慶早戦でベンチ入りした竹内丈(桐蔭学園・環1)が登板、三者凡退で試合を締めくくった。

昨秋のリーグ戦に続き、三回戦までもつれる展開が多かったが、新戦力の投手陣も経験を積み、秋季に向けて層は厚くなりつつある。攻撃陣も中盤以降、4年生を中心に集中打を見せ、控えの選手も結果を出した。秋季に向けて、チーム全体でしっかりと練習を積み重ね、準備してきた成果のうかがえるリーグ戦だった。

慶早戦三回戦で完封勝利を挙げた外丸東眞投手
慶早戦三回戦で完封勝利を挙げた外丸東眞投手

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