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倶楽部報(2017年春号)

六球会について

六球会幹事 小西 孝彦(昭和42年卒 熊本高)

2017年04月13日

故松尾俊治先輩をはじめ発起人的な東大OBの先輩諸氏が残された六球会の記事には、六球会発足の経緯や六大学野球への熱い思いがつづられている。各大学の野球部の伝統と誇りをそれぞれに守り抜き、併せて六大学野球への情熱を絶やすことなく後に続く後輩たちにも継承していきたいという強い熱意から始まったと記されている。

戦後、東京六大学が復活した最初のシーズン、昭和21年春は、慶應が四番別当薫選手の強打とエース大島信雄投手の好投で全勝優勝した。その年、優勝を争ったのが東大で、山崎論投手の健闘で明・早・立・法を下し四勝と、六大学史上初優勝の悲願達成にあと一勝と迫っていた。優勝を決める対戦相手は同じく四勝の慶應であったのだが、その試合は慶應大島投手、東大山崎投手の投げ合いでゼロ行進、拙攻が続いていた慶應が七回一死後、河内選手が四球を選び、別当選手とのエンド・ランが三塁ゴロとなり河内選手が三進、これを刺さんとした一塁手の三塁送球が悪く、拾い物の一点をあげ薄氷を踏む思いでの1対0の慶應の勝利であった。たった一度の優勝のチャンスを逃した東大としては、悔いの残るゲームを忘れることはできない。年を取るにつれ無念の思いは募り、元気なうちに仇討ちをと慶應に挑戦を申し出、快諾を得て昭和57年6月に本郷の東大球場で行うこととなった。

36年ぶりに当時のメンバーが同じユニホームを着て慶應に挑戦したのが六球会の始まりだったのである。その後、明治が加わり、昭和60年には法政、早稲田そして立教が参加して六球会の原型ができあがり、翌年の昭和61年から、現在のような数年をかけての総当たりリーグ戦式の試合制度となったという。野球だけだと年に一回しか集まれないので、ゴルフ大会やマージャン大会(平成28年を最後に終了)も行うようになった。

発起人メンバーの一人である東大OBの熱き思いを紹介したい。(昭和62年3月30日付、日本工業新聞掲載の「今もなお熱き想い・我々の六球会」の記事の一部引用)

「単なる昔を懐かしみ老後のお楽しみのためだけとは誰も思っていない。そこには今なお、熱き心があるのだ。戦後、野球が自由にやれるようになった時、六大学野球にも実に大勢のファンが集まり学生応援団席は常に満員であったことが懐かしい。時代の変遷とともにスポーツの多様化もあり同じようにはならないが昔を知る者にとって今の神宮は淋しい。せめてこの六球会の親睦の輪を広げ神宮のスタンドに集まろう。母校の現役を、いや東京六大学野球を応援しよう。そして少しでもネット裏が賑わい、私たちの熱い思いが現役選手たちの励みとなれば、観客の感動を呼ぶ好試合が展開されるに違いない。見る者の胸がギユッと締め付けられるような試合こそが真の学生野球の姿だ。学生らしく全員で勝負するゲームを見せてくれ。それが私たちの熱い思いなのだ。」

と述べられている。このように真の学生野球を目指しプレイする現役生をバックアップしたいという六球会発足時の「熱き思い」を後に続くOB達に引き継いで行ってほしいと締めくくられている。

六球会は、60歳以上の六大学野球部OBの集合体で、三田倶楽部会員の六球会会員登録者数は今年、有資格年度である昭和54年度の17名が学年世話人の門馬弘幸氏の尽力で全員登録することになり、合計245名(物故者を含め)の大所帯となっている。

今シリーズは、慶應が3勝1敗で一位、続いて法政が2勝1敗1引き分けで二位、早稲田と東大が2勝2敗で同率三位、明治が1勝2敗1引き分けで5位、立教が1勝3敗で六位となっており、この秋(11月下旬)の最終戦で慶應が立教に勝てば、慶應の優勝が決定する。試合後の表彰式で優勝の栄誉を受けられるよう、若いOBの参加を得て強いチーム編成で望めればと思っている。

今年度の六球会の懇親会が平成29年3月24日、銀座長寿庵の二階を貸し切り開催された。冒頭に濱靖夫代表幹事(昭和35年卒)より、今年の行事である5月10日と10月11日のゴルフ大会、そして野球大会(11月下旬予定)について、それぞれの大会での慶應の奮闘を期待する旨の挨拶がありました。続いて新たに新規加入した昭和54年度の世話人門馬弘幸氏の紹介があり、初参加の泉信行氏(昭和48年卒)の挨拶の後、最年長の増田弘氏(昭和32年卒)の乾杯の音頭で懇親に入りました。プロ経験者の赤木健一氏(昭和34年卒)、山下大輔氏(昭和49年卒)のユーモアのある話のほか、全員からスピーチをもらい、和やかな楽しい雰囲気の中親睦を深め合うことができました。最後に河内洋一氏(昭和32年卒)より締めの挨拶があり、一本締めにて散会した。

秋の野球大会の優勝を誓い合い集合写真
秋の野球大会の優勝を誓い合い集合写真

左より最年長の河内洋一氏と増田弘氏
左より最年長の河内洋一氏と増田弘氏

左より濱靖夫監督、山下大輔氏、田浦正昭氏、泉信行氏
左より濱靖夫監督、山下大輔氏、田浦正昭氏、泉信行氏

左より増山治一郎氏と島村聖氏
左より増山治一郎氏と島村聖氏

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